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「IN」→「OUT」

2009/07/21
桐野夏生さんの最新作「IN」

『98年に「このミステリーがすごい」大賞を受賞した「OUT」から12年目の衝撃!!』
という触れ込みにそそられて「IN」と「OUT」あわせて読んでみました。
以下感想(ネタばれあり)です。

宣伝文句から、てっきり共通する登場人物が出てくるとか
同じエピソードを別の面から描くとか
わかりやすい関連をイメージしていたらそういうことではないらしい。

「OUT」は平凡だがそれぞれに問題を抱える主婦4人が
ある出来事をきっかけに犯罪に手を染めていくというストーリー。

「IN」は、女流作家タマキが過去に書かれた
ある作品の登場人物○子に関心を持ったことから始まるストーリー。
実在する○子探しに奔走するタマキの姿を描きながら
作家の「業」について掘り下げていく。

「OUT」が動ならば「IN」は静。
「OUT」が肉体の感覚を描いているのに対し
「IN」は心の内へ内へと入り込んでいく。
アクション映画と、ヒューマンドラマくらいの落差があります。

単純にどちらが面白かったか?といわれればわたしは「OUT」
特に後半からの疾走感あふれる展開は最高にスリリングでした。

いずれも主人公は40がらみの女性なのですが
作者である桐野さんの存在を強く意識させます。
意志が強くて行動に迷いがない孤高の人。

もしかしてこれは桐野さん自身ではないかと錯覚してしまいます。
ところが「IN」のなかで、作家であるタマキにこんなことを言わせているんですね。

「真実は、真実ではないからです。
真実と思えたものを書いた時点で、それはフィクションになります。
それを知っている作家は、真実と思えるものを魅力的に、そして面白くします。
そのためには真実に間違われるフィクションが必要なのです。
ですから作品はすべてフィクションなのです」

なるほどね。
わたしがこれって桐野さん自身?と思った時点で
すでに作家の術中にハマっているということなのですね。

今まで読んだ桐野作品の中では「グロテスク」が一番好きなのですが
同作は東電OL殺人事件をモチーフとしています。

「グロテスク」があまりに面白かったので
東電OL殺人事件のノンフィクションを読んだら
思いのほかつまらなかったことを思い出しました。

事実は小説より奇なり、といいますが
その事実をより面白く書くのが作家なのですね。
そのために作家は、額に第三の目を開いて
自らも血を流しながら、永遠に言葉の世界で格闘を続けるのだと。

桐野夏生さん、作品も本人もカッコイイです。

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